ライアーで歌いましょう
久しぶりに日本の歌に伴奏をつけた楽譜集「ライアーで歌いましょう」のIとIIを開いて弾いてみました。旋律と伴奏に分かれているので、本来ならば二人以上て弾くものなのですが、旋律の方は自分で歌い伴奏の方をライアーで弾きながら楽しみました。
もちろんそれぞれの楽譜に添えて書かれている文章も読み返しました。二十年前のことなのですが、読んだり、弾いたりしてみると今でも新鮮で、自画自賛になってしまいますが、感慨深いものがありました。最初に出来上がった「海」の伴奏は何度弾いてもイメージのある伴奏でした。
一つ一つの楽譜にそのための文章を添えるというアイデアはライアーゼーレの社長の小沼喜嗣氏のアイデアでした。楽譜を見ているだけでは感じられないところまで言葉が導いてくれたと、楽譜集を手にされた方達から感謝のお手紙を何通も受け取りました。ライアーのための編曲というのは珍しいことでしたから、ヒントをもらうために色々な音楽を聞きました。そうしている時にさまどまな思いがよぎったのでした。その時のことなどを思い出しながら無我夢中で文章にしたものでしたが、出版してみると、とても好評で、寝る前に読んでいますなどという心温まる感想をいただいたこともあります。筑波でライアーの会をしたときに、絵を描く女性の方が「故郷」の伴奏からもらったインスピレーションで一枚の絵を描き上げられ、それを絵葉書にされたものをいただいたこともあります。「故郷」の伴奏でもう一つ嬉しい話があります。ある声楽家の歌曲の夕べで、アンコールに故郷が歌われたのですが、その時の伴奏の方が私のシューベルトの歌曲のゆうべのときに伴奏をしてくださった方で、そのアンコールに私の伴奏にピアノのために少し音を足して歌っていただいたということでした。とても歌いやすかったという後日談を聞かされました。最近いただいたお便りの中で嬉しかったのは、「月の砂漠」の伴奏に深く共感された方からのものです。私も大胆な伴奏だと思っていますが、その方は「ここまで奇抜な伴奏には今まで出会ったことがなかった」と私の伴奏の奇抜さをことのほか褒めてくださったのです。いつか綺麗に伴奏してみたいということでしたから、きっと今日も練習をされているのだと思います。
ピアノやオーケストラの伴奏からでは生まれない、寄り添うような伴奏をと考えて作ったものですから、ライアー人口が増えてゆけば、将来この伴奏の面白さを見つけてくれる人が出てくるのではないかと期待しています。
ライアーの音は人間の声に近いところがあります。弦が震えるところです。そのためライアーは伴奏楽器としても魅力のあるものだと思っています。この恵まれた条件がありながら、伴奏の時の音が小さすぎて歌い手の方にまで届かないというのがライアーのかかえる欠点です。音が聞こえる様にするために何人かで伴奏するというのも解決の方法ですが、複数のライアーの音合わせのところで労力を使い切ってしまいかねません。それと独創の時に聞かれる弦の震えが合奏になると別のものになってしまいました。個人的には伴奏は一人でする方が歌う人と呼吸を合わせやすいと思っています。ライアーで伴奏をする人たちが、しっかりと芯のある音を出せるようにすれば、音が小さくても聞こえるものなのです。今後のライアー演奏の課題の一つがここにもある様です。






