ゲルトナーライアーの試み 「ドからファまで」

2014年4月18日

私は今までのライアー人生の中で様々なライアーを手にしてきましたが、今はゲルトナーライアーに落ち着いています。

現在弾いているのは主にアルトライアーです。1950年に作られたものを初め、1965年のもの、1970年のものですが、(ちなみに録音の時には1965年のライアーを使っています)、最近ゲルトナー工房から1980年代に彼がいろいろと工夫を凝らした超高級なアルトライアーをお借りして弾いています。

この楽器驚くほどバランスが良く、高い音、低い音、小さい音、大きな音のいずれもがとても気持ちよく私に応えてくれるのです。宝石の様な楽器だと思っています。これから私が弾いてゆく中でどの様な響きに変わって行くのか楽しみな楽器です。出来れば買って、このまま手許においておきたいものです。

 

さて先日工房をおたずねして二代目のゲルトナーさんとお話しをしました。現在のゲルトナー工房の代表者です。

そこで、今のライアー演奏者たちの要求をお話しして、その要求が実現できるものかどうかをお願いしたのです。ライアーの音域を広げていただけないかというお願いでした。

そこでゲルトナーさんはお父様に当たる初代のゲルトナーさんのことをお話ししてくださいました。お父様も「当時もやはり演奏者たちから音域を増やしてほしいという希望があり、しぶしぶ増やしたのです」ということでした。

弦とライアーとは微妙なバランスの中で成立しているもので、「弦の数を増やせばいい楽器」という考えは素人的だと仰います。確かに演奏できる曲数は増えるのでしょうが、響きを犠牲にすることになってしまうのだそうです。弦の数を増やせば当然弦の張力によって音の質に変化が生じてしまい、ライアーを作る人達にとっては致命的なことでもあるので、どうしてもしぶってしまうところだそうです。今のゲルトナーさんのソプラノライアーですでに230キロ以上の張力がライアーの枠に掛っています。ピアノはハンマーフリューゲルから脱皮して行く発展の中で弦を増やして行きましたが、その時木枠のハンマーフリューゲルから、枠組みに鋳物を入れて弦の張力に耐えられる様にしていったのです。

しかし時代の要請、演奏者たちからの要求も楽器製造者にとっては無視できない要素です。

長時間おなしをする中でゲルトナーさんに理解していただいて、とりあえず10台の試作品を作っていただくことになりました。下は「ド」の音から、上は「ファ」の音までです。枠と弦の張力のバランスを保てるような工夫をしながらこれから製造に取り掛かってくれることになりました。

今まで音域でゲルトナーライアーからとおざかっていた方たちにとっては、願ってもいない吉報かもしれません。どうぞご期待ください。興味のある方は是非ライアー・ゼーレの方に問い合わせてみてください。

                                                 仲正雄

 

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