皆既月蝕のときの赤い月

2015年9月29日

皆既月蝕のとき月は赤くなります。その現象は皆既月食に伴って起こるものだと言ってしまえばそれまでのことですが忘れがたい心に残る色です。

9月28日の明け方、3時過ぎから3時間にわたってヨーロッパは皆既月蝕でした。前回の皆既月食もやはり明け方でした。月が沈む寸前だったと記憶しています。地平線に雲がかかっていたためほんのわずかの時間しか赤に変わった月を見ることが出てきませんでした。ですから数日前から天気になることを祈っていました。

月がすっぽりと地球の影の中に収まっていたのは一時間ほどでしたが、わずかその一時間の間の月の美しさに今回も深く感動しました。普段は黄色みを帯びて光っている月面が赤にかわります。色が変化するだけでなく、月が立体的な姿で現れ、月の形が球体であることを肉眼で見ることができるのです。普段は月が球体であることを知ってはいてもそれを実感することはありません。

皆既月蝕の日は満月と決まっています。今回は日本的に言うと「中秋の名月」と重なりました。満月は太陽と月の間に地球がくるのですが、皆既月蝕のときは地球と太陽と月が一直線上になります。地球が太陽と月の間を通り、月に影を投げかけるのです。

月蝕は日食と違います。月蝕という漢字をここでは使いましたが月食でもいいのですが、月蝕の方が実際のイメージに近いようです。まん丸のお月様が地球の影にすっぼりと入るだけなので、月が太陽と地球の間に入り太陽からの光を遮ってしまう日食のように姿を消すことはありません。日食の場合は日を食べるので日食ですが、月は消えないで形を残したままです。初めて皆既月蝕を見たときは、月が日食のときのように消えなかったことにがっかりした記憶があります。しかし失望以上の驚きは地球の影の中に淡く姿を残していた月が今まで見たことのない赤に変わっていたことでした。夜空に浮いている赤い月にただただ見とれていました。

今回の皆既月蝕は天気に恵まれました。雲ひとつない夜空に煌々と輝いていたまん丸の月に地球の影がかぶさるのです。一月かけてゆっくり進行する月の満ち欠けとは違い月はみるみるうちに影の中に吸い込まれてゆきます。地球が、月が動いていることを実感します。私たちは宇宙の中を動いているという体験です。天文少年だった当時と全く同じ感動です。普段の月の満ち欠けとは違ったところが欠けて行くこともとても新鮮です。今回はほとんど真上から欠けて行きました。太陽光の反射で光っている部分がほぼ三日月くらいになったとき、月の光はお皿のような受けの形になり、残りの部分が赤みを帯びた月でしたから、お皿の上にまんまるの赤いお団子が載っているようでした。

できればここに写真を載せたかったのですが綺麗な写真はプロのとったもので見てください。Mondfinsternis 2015 Deutschland で検索すると写真が出てきます。真っ赤な月の写真です。

 

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