ドイツのセンター試験

2023年4月21日

センター試験とは言っても日本とは全然様子が違います。名前はアビトゥーア。いわゆるテスト形式だけでなく、作文もあれば口頭試験もありですから、多様性のある試験制度のように見えますが、近年やはりインテリジェンスに傾いていることが指摘されているのが現状です。

そんな状況の中AIに今後のアピトゥーアのあり方を聞いた時の答えが新聞に載っていました。予想以上に真っ当な答えでしたから、少し期待はずれでした。

批判的に考えられる力、

状況に的確に反応でき、解決策を見つける能力、

個性の尊重、

社会に適応できる資格習得、

と色々と言った後、最後の締めは、

社会の変動に対応できるような柔軟性が必要というもので、そんなのはAIにお伺いしなくてもわかっている範囲のことでした。

 

ドイツ社会では、アピトゥーアの成績は女子生徒の方がよく、成績順に学部を選んでゆくと、医学部がトップですから、女性の医学生が圧倒的に多くなっていて、将来はほとんとが女医さんということにもなりかねない状況です。悪いことではないですか、ある種の一面性を感じます。

私はそのことから試験の内容を変えて行っても、女性の方が点数を取るという点からすると真面目に勉強をするので、お勉強が中心である限り、平均的には男子を上回っているので、実質はそんなに変わらないのではないかと思っています。

もう一つの傾向はアビトゥーアを受ける人が毎年増えていることです。この試験を通過していると、職業訓練の時にも優遇されるからです。ドイツでもひと昔前までのように義務教育を終えて職人さんになる人はほとんどいないのが現状で、社会全体に職人不足に悩んでいます。当然外国からの労働力が必要になってくるのですが、それでも今のところ職人不足は解決の目処が立っていません。

 

子どもを見ていると、一人一人違った才能を持っています。個性尊重なんて言っても抽象的なので、一人一人の才能を伸ばせるような教育体制が望まれていて、それに見合ったアビトゥーアが作られれば、社会的にも多様性が生まれるような気がするのです。あるいは一度職業についてそこで経験を積んだことが試験の時に考慮されるようなことも別の可能性を開くきっかけになりそうな気がします。

いずれにしろ社会は新しい子どもを待っているのだと思います。子どもも職業のための学校というものではない、学校のための学校を求めているのだと思います。何を学んでもいいのだという学校をです。

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