ヴァイオリンの音

2026年5月20日

ヴァイオリンはライアーと同じ弦楽器ですが、弦を弓に張られた動物の尻尾の毛で擦りながら音を作ります。先日Stuttgartの楽団でヴァイオリンを弾いているプロの方とお話をしていて、目から鱗だったことがあり、報告したいと思います。
私はヴァイオリンは弓に張られた毛で弦を擦っているだけだと思っていました。楽器を始めたばかりの子どもが弾くヴァイオリンの音はキーキーと擦れる音ですが、練習を重ねるとのびのびとした音になってゆきます。そこで大切なのは力をどこまで抜けるかということです。力任せで弾いた音は雑音以外の何物でもないのです。
そのかたが言うには、弦を擦るときに引っ掛ける様な感触が必要で、ただ擦っているだけだと深みのないのっぺりとした表情の乏しい音になってしまうのだそうです。と言うことは音を作る瞬間が命だと言うことになります。弓の毛で引っ掛けるように音を出した後は必要な長さだけ弓をーで擦るのだそうです。ヴァイオリンも結局音を出す瞬間で決まると言う点がとても興味深く、以前にお話ししたことがありますが、オルゴールは鍵盤と針の接触が短ければ短いほどいい音になるのです。ライアーも弦が指から離れる瞬間が短けば短いほど澄んだ音になります。ライアーでいい音というのは思い違いで、透明になるといい音になり、よく聞こえる音になるのです。それは聞き手の心にすーっと入ってゆくに違いないのです。よく聞こえるということは遠くまでよく通りということでもあるのです。
私はヴァイオリンの弓で擦っている音が苦手だったのですが、弦を弓の毛で擦るのではないということがわかり、少し楽になりました。
そうは言ってもチェロのフォイアマンの音は、深いことはわからずに好きでした。それは彼の音が、弦を擦る時に生まれる雑音の様なものがない透明な音だったからなのです。いつも彼の演奏を聞いて感じるのは透明感だったのですが、フォイアマンはただ弦を擦っているだけではなかったということだったのです。改めて聞いてみて、確かに音が生まれる瞬間に音が立っているのがわかります。
弦楽器というのはいろいろありますが、結局は音を作る瞬間が大事で、そこをクリアーすれば、いい音作りに一歩近づいたことになるというのはどの弦楽器でも同じだったのです。

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