文章の書き出し
2026年5月20日
小説にしろ、論文にしろ、エッセイにしろ書き出しは大事です。全体を牽引するからです。
アフリカ医療で有名でノーベル賞ももらっているアルベルト・シュヴァイツァーは、もともと牧師でさらにパイプオルガンの名手でした。彼は晩年「バッハ」と出された本を書きました。もうほとんど出来上がったあたりから出版社の方が催促をしてきます。ほとんど出来上がったというのは初めの一行がまだ書けていないというだけなのです。編集者が「もう書けましたか」と聞いてくるのですが、「まだです」としばらく続いたそうです。ようやく書き出し文章が書き上がって、編集の方に連絡がきて、原稿が引き取られていったという話を読んで、とても共感してしまったのです。
どんなものを読む時にも、書き出しでそれを読むかどうか決めてしまうこともあります。書き出しが詰まらなければ、その後が期待できないのです。
ミヒャエル・エンデは「はてしなき物語」を最初っから書いたのではなかったと話してくれました。途中から書き始めて、最後に書き出しの部分を詰めていったということでした。きっと他の小説家たちも問い所っから書き進んでいるわけではないと思います。一番最後に書き出しを書く人もいる様です。それほど書き出しは全体を左右しているのです。
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仲正雄ブログ






