わがライアーの音 すなわち心の力 その1

2012年3月16日

最近になって自分で録音したものを、意識的に聞いていています。

随分あることに我ながら驚いています。

そして聞きなが一つの決意がわたしを突き動かします。

録音の時に、一つ一つの音に込めた思いを残しておこう、というものです。

今まで出した5枚のCDは、それぞれ録音のために一週間という長い時間を取っています。

こんな長い時間を一枚のCDに費やすことは稀です。

今思い返すと、録音の一週間は特別な時間です。

ライアーによせる思いが結集している時間です。

良質のライアーの音を多くの方々にお届するのだという、祈りに似た思いに貫かれていました。

大袈裟な言い方かもしれませんが、録音されている音は、一音一音命懸けの音です。

 

私が録音したものは、ヨーロッパの有名な作曲家の作品です。

バッハ、ヘンデル、シューベルト、グルック、ブラームス、クープラン、サティー、フォーレ、ドビッシー、等々。

きっと聞かれる方は曲名すなわち「なんとかという曲」を聞かれるのだと思います。

CDを買われる時にも、曲を指定されいらっしゃいます。

「あの曲の入ったCDはどれですか」という具合にです。

しかし録音した本人にとっては、曲は一つの契機でした。

その曲からどんなライアーの音が引き出されるのかという契機でした。

録音を思いだすと、曲をどう弾くというより、この音でいいのかに徹底的に向かい合っていました。

 

これからしばらくは、CDに収めた一つ一つの曲を取り上げながら、

私がライアーの音に込めた気持ちを綴ることにします。

無限のライアーの音を、ライアーの願っている音を、皆さんと確かめたいと思っています。

ライアーは聞く人の心をほぐします。

それが癒しと受け取られています。

しかし私は、ライアーを弾く時に、聞き手のこころを癒そうとは弾きません。

ただ 音に全身全霊を込めて弾きます。

上手に弾くのではなく、神に祈るように弾きます。

それだけです。

 

 

 

 

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