筆でかく
我が家の孫娘たちも小学生になり、学校で文字を習っています。ドイツなのですアルファーべートです。
シュタイナー学校に通っているので、今は色鉛筆で色混じりで書いています。次の段階で万年筆で書くようになると言っています。万年筆だとペンの持ち方がボールペンを使う時のような、無理に推すような不自然な形の悪い握り方にならないと思います。
ちようどいい機会だと思って、二人の孫娘に筆で日本語を書いてみようと提案したら、大歓迎されて、夏休みにぼちぼち始めてみようかと思っています。
日本の習慣だと、二人は箸を使えるようになっていて、お蕎麦も箸で食べているのですが、持ち方が悪く思うようにゆかないのが現状です。橋は掴んだりするだけでなくお魚などは着ることもできるのですが、そこが今はまだ不自由なようです。
筆で書くと、筆の握り方が、ギュッと固めないで、筆に沿って指を置くことになるので、箸の持ち方にもいい影響があるのではないかと思っています。もちろん箸の持ち方は別物だとは思うのですが、箸の持ち方を矯正するいい機会だと、お爺様としてはいい効果を期待しているところです。
字をくことは好きで、ドイツ語なども気に入った文章などよく書き写していました。鉛筆で書くことが多かったのですが、万年筆を使ったりつけペンで書いたりと筆記道具を変えて文字の形がそれぞれで違うのを楽しんでいました。万年筆も細字と太字では同じ万年筆とは言えないくらい書き味が違うものです。
書いている時の動きの違いで、書き写している文章の頭に入る質が違うように感じてました。
コンピューターの時代で筆記道具などすぐに無くなってしまうのではないかと思いきや、鉛筆はまだ需要があるということです。特に日本の高級鉛筆は海外で評判が良くて日本でより売れているという話を聞きました。万年筆も新しいものが開発されているということです。文字を書くというのはただ用事を足しているという以上に人間存在の一部だという気がします。
万年筆のペン先は14金18金となっていて、今は金の相場が高く、私が万年筆を買った時とは比べ物にならないほどの値段になっています。それに伴って万年筆の値段が目の玉が飛び出すほどの値段になっているのにびっくりしました。二人の孫に万年筆をと思って調べていてわかったことでした。勿論孫には生徒用万年筆ですから、まだ買ってあげられるお値段です。
私の友人のお父さんが西洋カリグラフィーをやっていて、そこで使われるペン先を見せていただいたことがあり、何十というペン先のそれぞれの使い方を聞いていて、日本の書と根本的に違うのに驚きました。日本の書は動きの中のダイナミズムというか躍動感が筆のうごきに感じられます。動きと静けさのバランスと言うところも大切なものです。動きの結果として形があるという感じです。西洋のカリグラフィーでは動きは勿論大事なのですが、形とデザイン、画面のバランスと言うところを強調しています。
どちらも文字を書くと言うことに情熱をかけているのは共通しているのです。
ドイツでは一時学校教育から筆記体がなくなると言うことを聞き、「それはないだろう」と怒りのようなものを覚えた記憶がありますが、やはり私のような反対派が頑張ったのか、筆記体も指導されると言うことになっています。
ある講演会の後、学校の先生を長くやっていらしたと言う年配の方から話しかけられ、シュタイナー教育では喰い的に何を教えているのかを聞かれで、短い言葉で説明したのですが、その時フォルメンと言う科目が必須になっていますとお答えしたのですが、その先生は「それはすごいですね」とおっしゃって、「その教育は本物ですね」と太鼓判を押してくださいました。フォルメンと言うのは色々な形を鉛筆で線を引きながら書き上げてゆくものです。簡単に言うと西洋的な習字と言っていいかもしれません。本来ならダイナミックな素描、線描という方が実際に近いと思います。
他愛のない線を引いているだけで、心が落ち着くことがあります。
鉛筆でかく奥の細道という本を見つけて買って芭蕉の文章を鉛筆でなぞって書いていたことがあります。ただ読むのとは違って、楽しい経験でした。






