21世紀の哲学、孤独から二人へ

2012年6月7日

「人間とは何か」

人間ならまあ一度は考える問題です。

一度ぐらいは考えなければならないものです。

 

だからというわけではないのですが、好きでこのことをよく考えます。

好きで楽しい一方で、苦しくなることもあります。

意外と抽象的な所をどうどうめぐりしている様な気が、最近するようになりました。

 

私の思考力の弱さが原因の一つではあるのですが、それだけではない様な気がします。

人間というのは個として孤独な存在であると同時に、他の人とかかわって初めて見えて来るものを持っているということだと思うのです。

 

別に人間とはと考えることが間違っているとは思わないのですが、それだけでは足りないものがあるのです。

人間とは、人間とは何か、この問題は哲学の問題です。哲学の命題です。

哲学というのは、というより哲学をするのが好きな人は孤独が好きです。絶対に孤独を愛しています。

哲学を突き詰めると孤独の中にのめり込んで行ってそこから抜け出せなくなってしまいます。

 

哲学し過ぎると自殺するのはきっとそのことが原因かもしれません。

一人を追求したら・・、悟る人もいるかもしれませんが、たいていは何も無くなってしまいます。

ニーチェは人間をダイナマイトと見たり、灰となった自分に安らぎを見たりします。

特にニーチェの哲学は虚無的な面を持っています。

 

私も若いころによくニーチェを読みました。

一人が居心地がいい時には持ってこいの読みものです。

気がつくと最近は読んでいません。本棚にニーチェの本はあるのですが手が出ないのです。

 

原因はいろいろとあると思います。

一人の人間を突き詰めて行っただけでは解らないものが人間にはある様な気がしているから・・、

これが決定的かもしれません。

 

街に出て、人通りの多い道を歩きながら、あるいは広い公園のベンチに座ったりして、通り過ぎる、夫婦、カップルという組み合わせを観察するのが最近とても楽しいのです。

何故この二人は一緒にいるのだろうと、ぼんやりと、単純に不思議がったりするのです。

何がこの二人を引きあっているのだろう、と。

 

不思議といえば不思議です。

面白いといえばこれほど面白いものはないと思います。

二人の人間を引きあわせるのは何なのでしょう。

「なるほど」、と納得できるカップルもありますが、反対に「どうして」と頭をひねる様な組み合わせもあります。

 

ここに働いている力学、カップルの引力のことを考えていると、虚無的にも、自殺する方にも向かわないで済みそうです。

それ以上に人間の楽観力というものが想像以上に大きな肯定力だと気がつき、生きることにワクワクしてきます。

 

私が住んでいるのはドイツです。

体をぴったりくっつけているカップルもいます。

手をつないでいるカップル、腕を組んでいるだけのカップルもいます。

いつもカップルが幸せそうな顔をしているかというと違います。二人揃って無表情なカップルもあります。

それどころか仏丁面をしている二人もいます。別に喧嘩をしているという印象はも持たないのにです。

年取った夫婦が支え合い、とても幸せそうに歩いているのを見るのはほほえましいものです。

 

この多様性は、人間とは何か、としかめっ面して考えている時にはなかなか見えてこないものです。

新婚さんこんにちは、というテレビの番組があります。これは記録的な長寿番組だそうです。

私はただ数回、ほとんど偶然に見たにすぎないので大したことを言う資格はないのですが、一つには制作・プロデュースの巧さ、司会の桂三枝の力にもよるのでしょうが、一番の要因は二人の人間を引きあわせる不思議な力にはおおくの人が興味を持っているのだということだといっていいと思っています。

 

この力を哲学的なところまで持って行けたら、自殺しないで済む、幸せな哲学が生まれると思います。

これを21世紀の哲学にしたいものだと願っています。

 

 

 

 

 

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