火曜版 3 前売り券と当日券

2014年4月8日

前売り券が当日券より高いなんてびっくりしました。日本では考えられないです。何かの間違いではないかと友人に聞いたら、前売り券が高いに決っていますよ、といわれてまだびっくりでした。

これはドイツの話しです。ドイツ生活の初めの頃の話しです。日本では前売りの方が安いのが当たり前でしたから、その延長でいたらどんでん返しを食らった感じです。日本はいろいろなことですぐヨーロッパの真似をしたがりますが、ヨーロッパの人が来て行う演奏会の前売り券はいまだに当日券より安いです。相当深く日本的習性に根差しているものの様です。

ドイツも予約券を高く評価する習性は相当深いです。ベルリンフィルの今年のニューイヤーコンサートは去年の九月一日の朝八時から発売開始でした。ベルリンに住む友人は朝八時から、合わせて三台の電話で電話予約の窓口に電話し続け、八時半にやっとつながりましたが、スペシャル席はすでに売り切れていて、他の席もその時点で半分近くがなくなっていたそうです。次の日の新聞に、お昼までには予約で完売だったと記事があったそうです。

ドイツ人はまた会おうと約束をするとすぐに手帳を取り出して予定に入れようとします。「いつにする? 来週の水曜日は駄目だね、木曜日は午後から、金曜日ならなんとか都合は付けられるかもしれない」という具合です。

来年の夏休みの休暇の予定もお正月までにはたいてい決まっているでしょう。

 

予約券の方が当日券より高いわけがだんだん解ってきたころ、彼らが予定の中で自分を処理しすぎることが鼻につく様になりました。

ドイツ人が良く使う言い方にStellen Sie sich mal vorというのがあります。意味は解りにくいですが直訳すると、「あなたご自身をあなたの前に出して御覧なさい」。ところがこれが普段の生活の中では意味として「ご存知でしたか」とか「考えてもごらんなさい」となるのですから、慣れるまで相当の時間がかかりました。sich stellenと再帰動詞になって、他動詞が自動詞になるので意味の変化が起こります。「自分の目の前に思い浮かべる」こんな感じです。

何事も前に置くんです。予定を建てることが大事です。予定がたたないと物事が進んで行かないのです。物事は予定通り進むものなのです。前頭葉辺りがキリキリと痛くなってきます。

 

日本の電車は時間通り来ます。当たり前です。ところが他の国の電車の時刻表は半分、あるいはそれ以上が嘘です。最近のドイツも遅れることに対して罪悪感がある様な、ない様なです。遅れても時間通りと思っている様なアナウンスが流れます。ここで「いい加減な奴ら目」と腹を立てるようではドイツで生きてゆくのは難しいでしょう。日本の様な国は世界に珍しいのです。もしかしたらたった一つかもしれないです。そこを悟りに外国に出て行くべきです。

ドイツ人は予定に敏感で、予定通りにことを進めようとしている筈なのに、時刻表に関してはルーズです。どうしてでしょう。ヨーロッパ的エゴに関係していると思います。ここをほぐすとエゴが良く見えて来ます。

他の人との約束の時、自分の都合に合わせ、決して自分の都合を相手に合わせません。ここもとても不思議なところです。ニコニコしながらここで戦争をしています。自分が勝たないとまずいようです。譲っては負けです。負けるが勝ちなんてないのです。

時刻表通り運転するというのは、時刻表という相手に振り回されることだとでもいいたいのでしょうか。

ドイツ的習性ですが最近は日本にもドイツ的な人が随分は増えて来ています。

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