火曜版 4 西洋のお土産

2014年4月23日

日本文化の中でお土産というのは特別な位置づけにあると思います。出張や二泊三日の小旅行でどこかに行ったらお土産を買って帰るというのは定着した文化習慣です。そういう意識は誰もが持っていますから、たいてい何かを買って帰ります。あるいは誰かを訪問する時にも何かを持って行きます。その何かが結構難しいという話しはよく耳にすることで、駅の土産店で何でもいいからその土地の名物らしいものを買ってお土産にしても喜ばれないことが多く、逆に名物に旨いいものなしなどと悪口を言われてしまうことにもなるそうです。

気の効いたものをお土産にするために払われる労力は半端ではないようです。

 

日本に帰る時にお土産をと考えるのですが、これが苦労の種です。日本という国には世界中のものが集まっていますから、こちらで普通の店に行ってそこらで売っているものを買ってお土産にしても、そんなの日本にありますと笑われてしまいます。ドイツの一番おいしいチョコレートはすでに日本で売られていますし、しかも日本語で説明書きまで丁寧に印刷れているので、お土産にはなりません。一度失敗しました。ドイツ特有のクリスマスバザーすら日本で開催される時代ですから、何を持って行ったらいいのか頭を悩ませます。「何かいいもの、面白いもの」ということになると、現在デパートなどでは買えないものをということになり、アンチークのお店などを歩いて回り、いまのドイツでも珍しいものを買い求めてそれをお土産にするという戦法をとっていますが、それはなかなか功を奏していていてい喜ばれるので、機会を見てはアンチークの店に足を運びます。もともと古いものが好きなほうですから苦にならず、それどころか自分にとっても面白いものを見つけることもあり楽しんでいます。

アンチークの話しはこれくらいにしてまたの機会にまわします。そうでないとそちらに話しのめり込んでしまいかねませので、ここらで今日のテークのお土産に移します。

 

少し前の話しですが、ドイツにはどこかに旅行した時に自分が旅行した記念にと何かを買ってくることはあっても、他の人にお土産を買って帰るという習慣は定着していなかったようです。全然なかったというわけではありませんが日本と比べると皆無に近いものでした。有名なワインの産地に旅行してそこで美味しいといわれているワインを買って帰り、友達を呼んでパティーを開いて一緒に飲むということはあっても、そこで友達のためにワインを買って帰るということはなかった様です。

ところが最近は少し事情が変わってきて、猫も杓子も旅行に行くという旅行ブーム、それに消費生活型で、買いものブームですから観光地の至る所にお土産屋さんが立ち並び、外国を旅行したドイツ人も手を出しています。

ドイツの観光地では、特に日本人が良く来るところでは日本人とみると日本語で話しかけて来るほど商売熱心にお土産屋さんが頑張っています。もともと日本人は何かお土産にでもと買ってしまうのでよい鴨なのかもしれません。

良好ブームの中でお土産を買って帰るというのがドイツの習慣になった様に見えますが、実際にはそうでもないようで違和感を感じている人も多く、お土産分はドイツ人同士の間ではまだまだ定着の様子が見られません。

 

何故お土産を持って帰るのかの根底には、自分の体験を他の人と共有したいという願いに端を発していると考えてはどうでしょう。自分だけのこととして終らせないでおきたいという願いは、なかなか優れた社交術でもある様に思うのです。ドイツの場合、たとえばアフリカに行ってきたとして、そこでの特産品を自分の記念に買ってくるのです。今はワシントン条約で禁止されているものですが、象牙だとか、ヒョウの毛皮などを買って来て居間に飾って来客に自慢するというのが一般的なパターンでした。

やっぱりそこにも自己主張がしっかり生きています。

 

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