前夜祭。これからも好きなことを書いて参ります。

2021年5月10日

二週間ほど何も書かずに過ごしていました。正直拍子抜けした時間でもありました。

実は今日は最後の六十代の日なのです。明日からはなんと七十代の人間になります。それで新しいブログの境地を探していたのですが、残念ながら見つかりませんでした。

 

ブログは気楽に書けます。言論の自由という社会に生きている恩恵を甘受して好き勝手なことを好きに任せて書くことが許されている世界です。特別文章が上手いとか言われもしないのに、図々しく書いてきました。

建前はライアー奏者ということにしています。なぜライアー奏者なのかと時々聞かれますが、既成の枠にはめたくなかったということことでしょうか。特に深い理由はないのですが、ライアーのCDを六枚も出しているのでそう名乗ってもあながち間違いではないと思っています。そもそもエッセイを書くエッセイストとも違うと感じていましたし、ジャーナリストと言えばジャーナリストに怒られてしまいます。専門というのからはずして書けることはないかというところです。

現実には何かをする専門家というのが肩書きになって、それで世の中を闊歩するのが常識なのでしょうが、それでは今という時代にマッチしたものしか書けないような気がするのです。もちろんそれはそれで大切なことなのですが、周囲に囚われるということでもあります。

専門でもない、今の時代に特別深くマッチしているわけでもないものは、評価的には社会に役に立たないものなわけです。そんなもの意味がないではないかと思う方が多いと思います。ところが未来というのはわからないものです。今専門で通っているものが将来はどうでもいいものになることもあるのです。百年前にあった職業のうち半分以上が今日では見られなくなってしまいました。今の職業も三十年後にどれくらい残っているか分かりません。

 

多くの方がよく口にする、「好きなことをする」という発想ですが、とても大切なものだと思っています。ところが、これがどれほど深いものかを知らずに口にしているようです。好きなことというのは、その人にとって一番の支えになっているものです。

 

その昔の初恋のことを思い出してみてください。人を好きになるというのは、こんなに人生を変えてしまうものなのです。好きになるというのは計り知れない力を秘めているということです。

逆に「今あなたを支えている一番大切なものを書く」となると、力みが入って焦点が微妙にずれてしまいます。大体頭で考え、整理したものだからです。頭は案外役に立たないものだということの一例だと思っています。好きなことという言い方にしておくと、力が抜けて、一番書きたいことが自然に出てくるのです。それが案外読み手の力になっていたりしているようです。

 

ベストセラーを狙ってもベストセラーになるとは限りません。世の中にはベストセラー作家と呼ばれる人がいますが、いっときベストセラーになっても、命は短いものが多いです。センセーショナルになる仕組みを知っていて、その手順に従って作られているものが多く、しばらくすると読む気もしないということにすらなるのです。

時代にすごくマッチしたものはよく売れますが、時代はずれしたものも大きなヒットを生むこともあります。未来の要求は読めないということです。そこで、書き手が本当に好きなことを書いたら、案外多くの人から共感されたりするということが起こるのです。

 

わたしのブログはテーマがバラバラなので焦点が合わせづらいのでご迷惑をおかけすることがあるは思いますが、基本的には一つのことを書いているのだと自負しています。

そこが皆さんに伝わっていないのはわたしの力量が足りないからだと反省しています。ただ文章力というのは、本当に勉強のしようがないもので、数を書くことで少しは読みやすくなり、わたしの言いたいことが伝わりやすくなるのでしょう。

 

特に今回の開店休業のような状態を通して、毎日書くということが、心身にとって力になるということを発見しました。

 

ただわたしは宗教家ではありません。あろうともしていません。指導者という立場で人を導くこともしません。そもそもできません。何かを押し付けることはわたしが最も嫌っていることです。わたしの言葉は、一瞬皆さんの脳裏掠めて通り過ぎて、もう再び帰ってこないものかもしれません。わたしはそれでいいと思っています。

ところがわたしの千回以上やった講演の経験からいうと、半年前に聞いて何気なくいたことがある日突然リアルなこととして目の前に登場することがあるということです。

役に立ちそうな話ほど、長い目で見たら役に立っていないものなのかもしれません。

 

ということで、これからも好きなことを存分に書かせて頂きますので、お付き合いのほどをよろしくお願いいたします。

コメントをどうぞ