火曜版 7 ドイツと庭

2014年5月14日

アルベルト・シュヴァイツァー、アフリカ医療で有名な人です、この人の自伝を読んでいた時にフランスの庭とドイツの森を対比して文化の違いを書いて楽しく読みました。

彼はアルザスという歴史的には戦争のたびにドイツになったりフランスになったりという土地で生まれたため、どちらの言葉も喋れるバイリンガルでした。彼の言葉に従えば、二つの言葉が喋れても、しかもほとんど同じようにです、彼の母語はドイツ語だということです。母語が二つということはないと彼は考えていました。更に数を数えるのと日常の道具がドイツ語だからドイツ語が自分にとっては母語だというのです。

 

シュヴァイツァーが二つの文化を比較する時とてもユニークなものが飛び出してきます。

ドイツ語とフランス語を比べて、ドイツ語は森の様な言葉だと言っていました。フランス語はバロックガーデンの様な庭だそうです。ベルサイユ宮殿にある庭のことです。

ドイツ語は森の中に入って行って、時には道に迷いながら歩いている様な言葉だそうです。フランス語は整理された道を迷うことなく、ほとんど道順にきっちりと歩く様な言葉だというのです。

言われて見るとそんな気がしますが、私はフランス語ができませんから、フランス語については言う資格がありませんが、ドイツ語の方に関しては彼の発言に納得します。

 

ドイツに庭がないのかというとそんなことはありません。ただ日本人が想像する様な庭には出会いません。勿論フランス風でもありません。修道院などに、薬草を植えているのが、ドイツの庭です。修道院だけでなく、農家さんの庭にも薬草を植えている庭があります。農家さんの庭と呼んでいます。

どちらも日常的な目的があって作られていまから、日本人の私は庭と呼ぶのをためらってしまいますが、ドイツ人はそれが庭だと思っていますから、庭です。この庭はごちゃごちゃしています。まるで森を縮小した様なものですから、シュヴァイツァーが見たら、これをドイツ語の様なものだと感じたかもしれません。

 

ドイツ語は理路整然としているというイメージがありますが、自由奔放な言葉なのです。意外かもしれませんが、フランス語の方が文章の見方は煩わしいです。フランス語には模範的なフランス語と呼ばれているものがあり、毎年フランス語のテストが行われるそうです。全フランスから参加者があり、学生は勿論、文章に自信のある主婦も、更に有名な文人たちも参加して競い合うのだそうです。しかし100点満点の人は出ないのだそうです。

私にはキツネにつままれた様な話しで、何が模範的な文章なのか、誰が決めるのかといろいろ言いたくなるのですが、それはフランス文化の中での話しですから、あまり言うと内政干渉になってしまいます。

模範的なドイツ語はないと思います。こういう考えは存在していないです。どう書いてもいいのです。これがドイツ語とフランス語の違いです。

庭も同じ様なもので、フランスの庭づくりには基本の形がありそれを踏襲しなければ庭にはならないのですが、ドイツはどんな薬草を植えても、それを何処に植えても誰も文句をいわないのです。もちろんそこをどう歩いてもいいのです。

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