声の発見 その四

2013年1月20日

声の理想的なものは力強くてしなやかなこと、そして静かなこと。

これが人を包み込んで、聞いている人を穏やかにさせます。

 

時々、「もっと仲さんの声の秘伝を商売として売ったらいいですよ」

と言われることがあります。

「そうですね、ありがとうございます」

とはお答えしますが・・

商売している人を相手に

「もっとものが売れる様になる声」とか、

女性に弱い男性に

「女性を口説き易い声とか」

などだそうです。

半分は冗談だと聞きながしています。

 

でも声に即効力があることは事実です。

先生をやっていらっしゃる方で、教室がうるさくてと言っている方から相談を受けて

「声を変えたらいいですよ」

と提案し、すこし指導的にお付き合いしたことがあります。

その先生の声は落ち着きが無く、それでは子どもは大変だろうとさっしがついたからです。

子どもにしてみれば毎日のことですから、大変です。

一年してお目に掛った時、その先生は

「声って凄い力があるんですね」

と感動していらっしゃいました。

その先生の声がそんなに変わったとは思わなかったのですが、自分の声との付き合い方が変わっていたことは確かでした。

 

と言うことで、先ず落ち着いた声の反対の「うるさい声」のことから片付けて行きます。

声で一番迷惑なのがうるさい声と言うやつです。この声はハタ迷惑と言うだけでなく、人に聞いてもらえないと言う欠点を持っています。

話し手がどんなに一生懸命になっても、聞き手はそっぽを向いている様な声です。

声が聞かれない、聞いてもらえないのですから致命的です。せっかく喋っているのですから聞いてもらいたいです。

 

うるさい声が大きな声かと言うと、それは違います。小さな声だってうるさいのです。邪魔になっている、邪魔していると言うことで、迷惑と言うことです。

小さな子どもの前で大人が、うるさい声で話しているとします。音量は普通です。

周囲の子どもたちはいつの間にかうるさくなって行きます。こちらで何かで子どもをけしかけなくても、たとえば先生がうるさい声の持ち主であれば、何もしなくても子どもはうるさくなって行くものです。

一年ぶりであった先生は、そのことを本当に感じておられました。

声の影響力というのはこう言うものです。即効性があり、確実です。

 

声がうるさいというのはどこに原因があるのでしょうか。

一番の原因は心の持ち方です。いわゆる声の精神性の部分です。

自己主張の問題です。

自分を主張しようとするものが声の中に入っていると、声は相手にぶつかる様に当たります。受けた方は痛いので、体を引きます。心も引いています。そうすると相手の言っていることは受け取れなくなってしまいます。

 

自分のことを言う時にはできるだけ自分を出さないことです。

相手に聞いてもらいたいわけですから、相手に届き易い声、相手が受け取りやすい声というものを考えていいのではないか、そう思います。

簡単に言えば相手をどこまで自分の中で受け入れているかと言うことが基本になっています。そういう意識は声の中にはっきりと反映します。

 

自分をしっかり持っている人ほど、相手を自分の中で受け入れているものです。

そういう人の姿勢は、すっきりとしていて、まっすぐです。

このことは、声はよい姿勢で出すものということにつながります。

声のためには先ず「立つ姿」が決め手です。座っていても同じことです。様は背筋がまっすぐかどうかということです。

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