スイスの気配り
スイスには日本の大手新聞のようなものはありません。ほとんどが地方色の強いローカルな新聞が中心となっているのですがその中でもチューリッヒから出ている、Neu Züricher Zeitung、新チューリッヒ新聞は発行部数から見て、スイスの大手新聞と言える唯一の新聞です。そこで特派員として日本に滞在したフースター家族と私は親しくしています。
ご主人のトーマスと飛行機の中で隣り合わせたのが縁でした。隣に座った人がスイス人というのは彼が偶然にパスポートを整理していたので分かったのですが、スイスはドイツ語とフランス語とイタリア語とレトローマン語が国語として話されている国ですから、お隣のスイス人が何語を話すのかはその時点ではわからなかったので、初めの挨拶はとりあえず英語でして、その後「スイスの方ですよね。失礼ですが何語を話されるのですか」と尋ねました。帰ってきたのは「ドイツ語です」ということで、英語が得意でないので、それからはドイツ語で会話がスムースになったのでした。彼の専門分野は経済ということでした。当時はバブルが崩壊して日本から少しづつ経済大国の面影が薄れ始めている時でしたが、まだ円のレートは強く、物価も高く、彼がいうには「スイスより高い国に初めてきました」ということでした。
日本に行くと必ず一度は会っていたのですが、その度に奥さんのパトリチアが「日本はスイスだ」としきりにいうのです。一年目より二年目、さらに三年目とその印象はどんどん強くなって行くようでした。街の清潔さは特に強烈な印象だったようで「スイス以外ではお目にかかれない清潔さ」がとても気に入っているようでした。飛行場も駅もデパートも、とにかく人の集まるところはどこへ行ってもゴミがなく綺麗で、スイス以外にこんな国があることを知らなかったということでした。私の印象からも、ヨーロッパはどこへ行っても犬の糞とゴミで散らかっているのが当たり前ですから、そんな中でスイスは例外なのです。
スイスは「アルプスの少女ハイジ」の印象を大切にしています。印象とは別にスイスを実際に支えているのは金融、特に銀行で、匿名で預金できるため世界の大富豪がスイスの銀行に匿名口座を開設しています。そうしたお金が集まり、そこから預かり料として膨大な利益をえていますから、非常に裕福な国なのです。収入はドイツのほぼ二倍ほどです。日本の三倍くらいかもしれません。ただスイスが銀行で金儲けをしているというイメージは必ずしも国にとっていいものではなく、その守銭奴的イメージをを払拭するために「アルプスの少女ハイジ」からのイメージは、自然豊かな風光明媚な国というイメージを醸し出すため、物欲から離れた清潔なイメージ作りのためには非常に役に立っていのです。そのために国は相当の支援を酪農農家に給付して酪農を奨励しています。
話をスイスと日本の共通性に戻すと、気の配り方に触れなければならないと思います。日本はしつこいほど「おもてなし」を合言葉にしていますが、スイスにも別の意味での思いやりがあり、他の国からくるとスイス人は特別だという印象を持ちます。
スイス製、時計やカメラといった精密機械は相当高いクオリティーがありますから、値段も張ります。しかしスイス製は伝統に支えられているため信頼度が高く、他の国の追随を許さないのです。物作りのクオリティーは日本とスイスは双璧で品質の高さを競い合っています。ただスイスには伝統がある分値段が高く見積もられるところが、後から追いついた日本に水を空ける要因です。
先日子どもの家族とスイスに行っていました。就学以前の孫を連れていたので孫を遊ばせなければならず、公園のようなところではなく山の中の遊び場にみんなで出かけることにしました。そこはバーベキューができるようにひを使える場所が設けられていました。前日に降った大雨で周りはびしょ濡れでした。そのことは予め覚悟していたので、薪を持参して行ったのですが、スイスらしいサプライズなおもてなしに迎えられたのでした。火を使える場所の近くには小さな小屋があって、みるとそこには雨に濡れないように薪が積み重ねられているのです。さらに紙まで周到に用意されているのには、「さすがスイスむとびっくりしました。もちろん薪は無料です。管理しているのは自治体ですから、係の人が見回っているのでしょう。小屋の薪が空になれば補充されるということです。
用意する方の意識の高さもですが、利用者たちのモラル感覚も、そうした場所を維持するために大きく作用していると思います。使った後を片付ける習慣がスイスにもあって、日本でいう「発つ鳥後を濁さず」というスタイルがスイスでは日常に染み渡っています。しかし最近は観光客の質が低下しているということはよく耳にします。ホテルの備品が紛失するという今まではなかったことが続出しているのだそうで、特定の国は「お断り」という方針も打ち出されているということです。
ところでスイスにはいろいろな側面があって、それもスイスらしいと思わせるものです。路上駐車は日本では馴染みのないものですが、この路上駐車を料金制にしたのはスイス脱たのですが。また食品に賞味期限というシステムを導入したのもスイスだったのです。それによって個人経営のちいさな店舗がき巨大スーパーに飲み込まれてしまったのです。賞味期限というのは衛生上のことが出発点ではなく経営的な下心があって生まれたものだつたのです。
また近い日に日本円のレートが良くなったら、ぜひスイスに旅行してみてください。スイスはいいとこ一度はおいでと呼んでいると思います。きっと行かれた方はスイスが好きになること請け合いです。スイスのおもてなしも是非堪能してみてください。
今日はスイスの宣伝でした。もちろんスイスからは一銭ももらっていません。